1今回の事例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 当初購入価格(土地+建物) | 6,125,250円 |
| 所有権移転費用 | 143,599円 |
| 家屋取り壊し費用 | 2,090,000円 |
| 売却代金 | 4,800,000円 |
ポイント:
一見すると購入価格より安く売っているので損失に見えますが、建物は減価償却により取得費が減少します。
減価償却が大きいほど「取得費」が小さくなり、結果として「利益が出た」とみなされる可能性があります。
2譲渡所得の計算の仕組み
基本計算式
譲渡所得 = 売却代金 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
各項目の内訳
取得費の計算
取得費 = 土地取得費 + 建物取得費(償却後)+ 付随費用
- 土地取得費:購入価格 × 土地割合(減価償却なし)
- 建物取得費(償却後):購入価格 × 建物割合 − 減価償却費
- 付随費用:所有権移転費用 143,599円
減価償却費の計算
減価償却費 = 建物取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
※ 上限:建物取得価額の95%
非事業用(マイホーム等)の場合、法定耐用年数を1.5倍にした年数に応じた償却率を使います。
| 建物構造 | 耐用年数 | 償却率 |
|---|---|---|
| 木造 | 33年 | 0.031 |
| 木造モルタル | 30年 | 0.034 |
| 軽量鉄骨(3mm以下) | 28年 | 0.036 |
| 鉄骨(3mm超〜4mm以下) | 40年 | 0.025 |
| 鉄骨(4mm超) | 51年 | 0.020 |
| 鉄筋コンクリート(RC) | 70年 | 0.015 |
なぜ土地割合が重要?
土地は減価償却しません。建物だけが経年で価値が下がるとみなされます。
そのため、建物割合が大きいほど減価償却費が大きくなり、取得費が小さくなり、利益(=課税対象)が増えます。
土地割合が大きい
→ 減価償却が少ない
→ 取得費が大きい
→ 利益が少ない or 損失
→ 取得費が大きい
→ 利益が少ない or 損失
建物割合が大きい
→ 減価償却が大きい
→ 取得費が小さい
→ 利益が出やすい
→ 取得費が小さい
→ 利益が出やすい
3申告不要ラインの分析
今回のケースの損益分岐点
減価償却がゼロ(新築直後に売却)の場合
4,800,000 −(6,125,250 + 143,599)− 2,090,000 = −3,558,849円
→ 減価償却がゼロなら、按分割合に関係なく確実に譲渡損失(申告不要)
利益が出る条件(申告が必要になる条件)
減価償却費 > 3,558,849円 のとき
つまり、減価償却により取得費が3,558,849円以上減少した場合のみ、利益が発生します。
所有年数・構造別:申告不要となる最低土地割合
以下の表は「この割合以上を土地として按分すれば、譲渡所得がゼロ以下(=申告不要)になる」最低ラインです。
| 構造 | 10年 | 15年 | 20年 | 25年 | 30年 | 35年 | 40年 |
|---|
※「−」= どの按分でも申告不要 / 数値 = その割合以上なら申告不要 / 居住用・特別控除なしの場合
4シミュレーター
売買情報
建物情報
20年
50%
固定資産税評価額の割合で設定してください
控除・特例
居住用財産を売却した場合に使える特別控除です。取り壊し後1年以内の売却契約等の要件があります。
譲渡所得
−
条件を変えて試す
20年
この条件での結論
土地割合と譲渡所得の関係
税額の目安
5税率の参考情報
| 区分 | 所有期間 | 所得税+住民税 | 復興特別税込み合計 |
|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% + 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% + 5% | 20.315% |
注意:所有期間は売却した年の1月1日時点で判定します(実際の所有年数とは異なる場合があります)。
また、復興特別所得税(2.1%)は2037年まで課税されます。